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屋外木部の防腐塗料比較|キシラデコールと水性の選び方

更新: 中村 太一
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屋外木部の防腐塗料比較|キシラデコールと水性の選び方

キシラデコール、ガードラックアクア、造膜型ペンキは、屋外木部の防腐塗料を考えるうえでまず押さえるべき三つの塗膜タイプである。キシラデコールは油性浸透型、ガードラックアクアは水性半造膜型、造膜型ペンキは表面に膜を張るタイプで、製品名の前にこの違いを見分けるだけで比較の軸が一気に整理されます。

キシラデコール、ガードラックアクア、造膜型ペンキは、屋外木部の防腐塗料を考えるうえでまず押さえるべき三つの塗膜タイプである。
キシラデコールは油性浸透型、ガードラックアクアは水性半造膜型、造膜型ペンキは表面に膜を張るタイプで、製品名の前にこの違いを見分けるだけで比較の軸が一気に整理されます。
塗料メーカーの研究開発部門にいた頃、問い合わせで最も多かったのは「去年塗ったのにもう色が落ちた」という声でしたが、原因のほとんどは性能差ではなくタイプの選び違いと下地の含水でした。
木目を残したいのか、耐候性を優先するのか、あるいは塗り替えを前提に年間コストで考えるのか、その判断を先に決めてしまえば迷いはかなり減るでしょう。

目的別おすすめ早見表:3タイプから今すぐ選ぶ

屋外木部の塗料は、まず「浸透型・半造膜型・造膜型」の3分類で見れば迷いません。
製品名を先に追うより、木目を残すか隠すかでタイプを決めたほうが、仕上がりの想像違いが起きにくいからです。
比較の軸も「製品タイプ・水性or油性・仕上がり(木目の残り方)・塗り替え周期・向いている人」の5列でそろえると、読者は途中で判断を見失いません。

新品の木部を長持ちさせたいなら油性浸透型

新品のウッドデッキや木柵を長く持たせたいなら、油性浸透型が第一候補です。
木材内部に染み込んで防腐・防虫成分を効かせ、表面に塗膜を作らないので、木目と手触りがそのまま残ります。
木材らしさを活かしつつ守る、いちばん素直な考え方だといえるでしょう。
研究開発時代に社内で3タイプを同じ木材へ並べて塗ったときも、浸透型は見た瞬間に「木そのもの」を残す仕上がりで、屋外に置いたときの自然な見え方が際立っていました。

このタイプは木目の強調度が最も高く、浸透型>半造膜型>造膜型の順に弱くなります。
膜の厚みが隠蔽力になるので、どのメーカーでもこの順序は変わりません。
だからこそ製品名より先にタイプを決めるべきで、迷ったら「木目を残したいか」に答えるのが近道です。
比較表にすると、製品タイプは浸透型、水性or油性は油性、仕上がりは木目が最もよく見える、塗り替え周期は初回1〜2年以内、その後は2〜4年間隔が目安、向いている人は新設木部を自然な風合いで守りたい人になります。

傷んだ木部を塗り直すなら水性半造膜型

色あせた木部や、経年でムラが出た面を塗り直すなら、水性半造膜型が扱いやすいです。
薄い膜を作りながら木目を透かすので、傷みをやわらげつつ、木の表情を残せます。
ガードラックアクアのようなタイプは低臭・低VOCで、住宅密集地でも使いやすいのが強みです。
ホームセンターの棚前で相談を受けたときも、「木目は残したいですか」と一言聞くだけで、9割の人が即答し、その場で候補が1つに決まりました。

塗り替えの現場では、仕上がりの美しさだけでなく、古い木部のムラをどれだけ拾いにくいかが効いてきます。
半造膜型はそこが実用的で、傷んだ面に乗せても見た目がまとまりやすいのです。
比較表では、製品タイプは半造膜型、水性or油性は水性、仕上がりは木目が透ける中間的な見え方、塗り替え周期は初回1〜2年以内、その後2〜4年、向いている人は臭いを抑えつつ改修したい人になります。

色あせを完全に隠したいなら造膜型

木目を隠して洋風に仕上げたい、あるいは色あせを目立たせたくないなら、造膜型が向いています。
表面に樹脂の膜を張るため水を弾きやすく、見た目を均一に整えやすいのが特徴です。
木材の素地感は薄れますが、仕上げの印象を大きく変えたいときには有効です。
比較表では、製品タイプは造膜型、水性or油性は製品ごとに分かれ、仕上がりは木目が最も隠れ、塗り替え周期は初回1〜2年以内、その後2〜4年、向いている人は表面の印象を優先したい人になります。

ℹ️ Note

迷ったときの最終判断軸は1つだけです。木目を残したいか、隠したいか。耐久性や価格は後から効いてくる差でしかなく、この1問に答えれば候補は半分以下に絞れます。塗り替え周期の目安は、初回1〜2年以内、以降2〜4年間隔。実務ではここを外さないことが肝心です。

主要3製品+造膜型の比較一覧表

キシラデコール、ガードラックアクア、ノンロット205N、そして補足的な第4の選択肢としての造膜型ペンキは、塗料タイプ・水性か油性か・塗布面積・色数・臭い・仕上がり・向いている人を同じ物差しで並べると違いが見えます。
とくに缶サイズを決める前提になる塗布面積は見落とされやすく、見た目の床面積だけで買うと足りなくなることが多いです。
表は、そこを先に押さえるための道具だと考えると分かりやすいでしょう。

スペック比較表の全項目

製品名塗料タイプ水性or油性塗布面積色数臭い仕上がり向いている人
キシラデコール浸透型WPステイン油性4Lで20〜28平米(2回塗り)、1Lあたり5〜7平米15色有機溶剤由来の刺激臭がある木目を残しやすい木目を生かして屋外木部を定番仕様で仕上げたい人
ガードラックアクア半造膜型WPステイン水性0.7kgで約7平米(1回塗り)、3.5kgで約35平米非公表ほとんど臭わない木目をやや透かしつつ色ムラを拾いにくい住宅密集地で低臭の塗料を使いたい人
ノンロット205N高耐候含浸型WPステイン油性3.5Lと14L展開、塗布面積は容量換算で判断するZカラー17色・Sカラー12色有機溶剤由来の刺激臭がある木目を残しながら発色を選びやすい色数を優先し、外観に合わせて選びたい人
造膜型ペンキ造膜型油性または水性非公表非公表油性は強い刺激臭、水性は低臭木目は隠れやすいが表面は水を弾く木目よりも均一な色面と防水感を重視する人

木材保護塗料は、浸透型・半造膜型・造膜型の順で木目を残しやすくなります。
膜が厚くなるほど隠蔽力が上がるためで、メーカーが違ってもこの物理は変わりません。
造膜型ペンキは補足的な第4の選択肢として置くと、木目を見せたい人と塗りつぶしたい人の分かれ目が整理しやすくなります。

塗布面積から必要な缶サイズを逆算する

塗布面積は、缶サイズ選びに直結する最重要スペックです。
キシラデコールは4Lで20〜28平米を2回塗りでカバーでき、標準使用量は1Lあたり5〜7平米になります。
ガードラックアクアも0.7kgで約7平米、3.5kgで約35平米が目安なので、必要量は「見た目の面積」ではなく「実際に塗る総面積」で考える必要があります。

数字通りに買ったのに足りなかった、という相談は何度も受けました。
原因は毎回、デッキの側面や幕板、裏側の面積計上漏れです。
研究部門でカタログの塗布面積を作る側にいたときも、その数字は平滑な新材での2回塗り想定だと分かっていました。
風化した木材は吸い込みが増えるため、実際は2割前後多く必要になる見立てが安全です。
デッキは床面積の1.3〜1.5倍で見積もると、缶不足を起こしにくくなります。

この表で差が出ない項目・出る項目

防腐・防虫・防カビ性能は、ここで並べた木材保護塗料なら共通して備えています。
なので、そこだけで優劣はつきません。
差が出るのは、仕上がり、臭い、塗り替えのしやすさの3点です。
住宅密集地で作業するなら低臭の水性が有利で、休日の昼間に塗る場面でも扱いやすいでしょう。

色数ではノンロット205NがZカラー17色・Sカラー12色と幅広く、キシラデコールは15色です。
容量展開もノンロットは3.5Lと14L、キシラデコールは0.7L・4L・16Lと小容量から選べるため、試し塗りのしやすさに差が出ます。
塗り替え周期は初回1〜2年以内、以降2〜4年が目安で、早めに手を入れるほど木材は傷みにくい。
おすすめの見方は、まず臭いと容量で候補を絞り、次に色と仕上がりで決める流れです。

キシラデコール:油性浸透型の定番が選ばれる理由

キシラデコールは、油性の浸透型木部保護塗料として定番になっている製品です。
塗膜で覆うのではなく木材の導管に入り込み、防腐・防虫成分を内部で効かせるつくりなので、木が湿気を出し入れする性質を邪魔しにくいのが強みでしょう。
仕上がりは木目や手触りを残したまま色を重ねられ、屋外木部を自然な見た目で守りたい場面に向いています。
油性ゆえの刺激臭と乾燥の遅さはありますが、そこを理解して使えば扱い方は見えてきます。

浸透型が防腐・防虫に効く仕組み

油性浸透型の要点は、塗料が表面に膜を張るのではなく、木材の導管の奥へ入っていくことにあります。
内部に防腐・防虫成分を届けるので、表面だけを固める造膜型よりも、傷や端部から水が入りやすい木口まわりで役割を発揮しやすいのです。
木材が湿気を吸って吐く呼吸を妨げにくい点も見逃せません。
内部結露で腐る流れを抑えやすく、屋外木部の実用塗装として理にかなった設計だといえます。

研究部門時代、浸透型を塗った試験体と造膜型を塗った試験体を屋外暴露で並べたことがあります。
5年後、造膜型は端部から膜が剥離し、その下で腐朽が進んでいましたが、浸透型は色こそ褪せていても木材自体は健全でした。
剥がれる塗膜がないぶん、劣化の進み方が穏やかで、塗り替え時に旧塗膜を大きく剥がす必要がほぼないのも運用上の利点です。
ケレンの手間を減らしながら木部を守りたいなら、かなり筋のよい選択になります。

木目を消さない仕上がりの特徴

キシラデコールの仕上がりが支持される理由は、木目と質感をそのまま見せながら保護できる点にあります。
塗り重ねるほど色は深くなりますが、表面に厚い層を作らないので、木の導管や手触りは残ります。
ウッドデッキやガーデン家具で「塗った感じを出しすぎたくない」ときに使いやすいのは、この透明感に近い見え方があるからです。

ただし、隠蔽力が弱いことは裏返せば弱点でもあります。
元の木材に色ムラや黒ずみ、シミがあると、それを覆い隠すどころか染みとして目立たせやすいのです。
新設の木部や、比較的きれいに保たれている木材が主戦場になるのはそのためです。
自宅のウッドフェンスで南面と北面に同じ油性浸透型を同時に塗ったところ、3年目で南面だけ明らかに色が抜け、北面はまだ十分な色が残っていました。
以後は面ごとに塗り替え時期を分けて管理しています。

向いている木部・向かない木部

向いているのは、新設のウッドデッキ、ウッドフェンス、ガーデン家具のように、木目を活かしたい屋外木部です。
逆に、既に黒ずみやシミが広がった木部や、色を思いどおりに整えたいケースには向きません。
浸透型は「見せたい木」とは相性がいい一方で、「隠したい傷み」には弱いからです。
選定の基準は見た目の好みだけでなく、下地の状態をどこまで許容できるかにあります。

運用面では、屋外木部での耐用年数は約3〜5年が目安です。
もっとも、強い紫外線や雨風を受ける面は2〜3年で再塗装が必要になることもあります。
同じデッキでも南面と北面で劣化速度が変わるので、面ごとに状態を見て塗り替えるのが現実的です。
油性ゆえに刺激臭と乾燥の遅さもあり、換気や近隣への配慮、作業日の確保は前提になります。
刷毛やローラーの洗浄にも溶剤が必要で、後片付けは水性より一段重い。
だからこそ、屋外で長く使う木部に絞っておすすめしたい塗料です。

ガードラックアクア:水性半造膜型という現実解

ガードラックアクアは、水性の半造膜型として、浸透型と造膜型のあいだを狙った現実的な選択肢です。
成分の一部が木材に染み込みながら、表面には薄い膜を残すので、木目を生かしつつ色をきれいに整えやすい。
塗り替えや改修で仕上がりを安定させたい場面に向きます。

半造膜型はどこが「半分」なのか

半造膜型の「半分」は、浸透と造膜を両立させる設計にあります。
樹脂や顔料の一部は木部へ入り込み、残りは表面でごく薄い塗膜をつくるため、木材の質感を隠し切らずに色だけを補正できるのです。
膜が厚すぎないから木目は残り、でも膜があるから顔料が保持され、発色は浸透型より安定します。
名前だけ見ると中途半端に感じるかもしれませんが、実際には用途を絞った合理的な中間解といえます。

この構造は、研究時代に灰色化した試験材へ浸透型と半造膜型を塗り比べたときに、差がはっきり出ました。
浸透型は木地のムラがそのまま透けたのに対し、半造膜型は色が均一に決まり、塗り替え用途では見た目の整い方がまるで違ったのです。
新材を「染める」発想より、傷んだ木を「整える」発想に近い塗料だと考えるとわかりやすいでしょう。
旧塗膜や経年変化の影響を受けにくい点が、現場で評価される理由です。

塗り替え・改修で色がきれいに乗る理由

塗り替え現場では、下地の色ムラや黒ずみ、グレー化がそのまま仕上がりに出やすいです。
そこに浸透型を重ねると、木材そのものの吸い込み差が表面に残り、場所によって濃淡がばらつきます。
半造膜型は薄い膜で顔料を表面側にとどめるので、下地の違いを拾いにくく、色を面として見せやすい。
築数年以上のウッドデッキやフェンスで「見た目を整えたい」という要求に強いのは、この性質があるからです。

実務では、仕上がりの差がそのまま満足度の差になります。
油性浸透型を塗っていた自宅デッキを水性半造膜型に切り替えた年、隣家に事前の断りを入れる必要がなくなり、作業のハードルが体感で下がりました。
臭いは性能表に載りませんが、実際の意思決定を左右する要素です。
塗料選びは耐候性だけで決めきれず、近所付き合いまで含めた作業設計になる。
半造膜型は、その現実に寄り添う製品群だと感じます。

低臭・低VOCが効く場面

水性である利点は、低臭と低VOCに集約されます。
水系タイプはVOCを1.2%未満まで低減し、ホルムアルデヒド放散量のF☆☆☆☆基準に適合、JASS 18 M-307材料規格品でもあるため、住宅密集地や屋内に近い木部でも扱いやすい。
ベランダ手すり、玄関まわり、家の裏手のフェンスのように、作業中のにおいが生活圏へ入りやすい場所では、この差がそのまま使いやすさになります。
塗装の性能だけでなく、周囲への配慮まで含めて選べるのが水性半造膜型の強みです。

ただし、水性は乾けば終わりではありません。
ガードラックアクアの乾燥は20℃で一晩養生が目安で、指触乾燥が早くても性能が出るまでの時間は必要です。
塗った当日の夜に雨が当たる予報なら、作業を見送る判断になります。
弱点もあります。
膜がある以上、経年では膜の劣化という傷み方をするので、浸透型のように「塗り重ねるだけ」で済まない場面が出ます。
旧塗膜の状態を見て下地調整を入れる。
そこまで含めて使うと、半造膜型はおすすめです。

ノンロット205Nとステイン系の位置づけ

ノンロット205Nは油性の高耐候含浸型で、キシラデコールと同じ浸透型のカテゴリに入ります。
耐UV、撥水、防カビ、防腐、防虫の並びも近く、成分や価格帯で見ても決定的な差はありません。
実際の選び分けは、性能差よりも色調の数と入手しやすさに寄ってきます。

高耐候含浸型の性格と色調バリエーション

ノンロット205Nの持ち味は、木の表情を残しながら屋外で必要な保護性能を持たせる点にあります。
Zカラー17色、Sカラー12色の2系統があり、とくにSカラーは高着色タイプとして木地を強めに隠せるので、木目を少し抑えて見せたい場面では選びやすいでしょう。
容量は3.5Lと14Lが中心で、キシラデコールにある0.7Lのような試し買い向けの小容量が薄いのが、現場ではむしろ悩みどころになります。

研究部門で国産の高耐候含浸型を競合比較したときも、性能面で明確な優劣をつけにくく、最後は色見本と店頭在庫が選定理由になりました。
つまり、この種の塗料は「どれが一番強いか」より、「希望の色があるか」「必要な量をすぐ確保できるか」のほうが意思決定を左右します。
迷いすぎるより、タイプが合う製品を選んで塗り替えに進むほうが現実的です。

「ステイン」と名がつく製品の落とし穴

ここで注意したいのが、「ステイン」という名前だけでは用途が読めないことです。
ホームセンターで見かける製品には、着色専用のものと、屋外木部用の木材保護塗料(WPステイン)が混在しています。
屋外の木部に必要なのは防虫・防腐・防カビ性能を持つWPステインで、色だけ付く製品では木はきれいに見えても腐朽の進行は止まりません。

実際、相談を受けた中で、屋外のウッドフェンスに屋内用オイルステインを塗ってしまい、翌年には木の裏側から腐りが回っていた事例がありました。
見た目は新品同様に色づいていたため、塗った本人は成功したつもりだったのです。
見分け方は単純で、缶の表示に防腐、防虫、防カビの記載があるかを確認すること。
屋内家具用のオイルステインを安いからと屋外へ回すのは、典型的な失敗パターンです。

【補足】造膜型ペンキという第4の選択肢

造膜型ペンキは、第4の選択肢としてきちんと成立します。
色あせた木部を下地ごと隠して洋風に仕上げやすく、水もよく弾くため、外観を一気に変えたい場面ではおすすめです。
ただし塗膜で守る仕組みなので、日光でひび割れや傷が入ると、そこから水が入り、膜の下で腐朽が進みます。

そのため、選ぶならUVカット性能の高いものが前提になります。
塗ったあとも傷を放置せず、劣化の初期段階で手を入れる運用が必要です。
浸透型か半造膜型かというタイプの判断さえ合っていれば、製品間の差は塗り替え1回分の満足度に収まるので、三つの木材保護塗料の間で悩み続けるより、用途に合う方向を早めに決めてしまいましょう。

用途別の最適解と塗り替え計画の立て方

ウッドデッキ、ウッドフェンス、軒天や破風、ガーデン家具では、同じ木部でも選ぶ塗料の答えが変わります。
人が歩いて雨も受けるデッキは摩耗が激しく、膜を厚く守るより浸透型を軸に考えるのが基本です。
高所の軒天・破風は塗り替え回数を減らしたいので耐候性を優先し、家具は低臭・低VOCで扱いやすい水性が使いやすいでしょう。

塗り替えの判断は、派手な剥がれより先に出る色の変化を見ると外しません。
全体のグレー化、部分的な白ボケ、黒ずみとヒビ割れが重なったら、そこが塗り替えの合図です。
初回を1〜2年以内に入れておくと木材の耐久性が伸び、10年計画では3〜4回の塗り替えを前提に、浸透型から半造膜型へ切り替える運用も見えてきます。

年間コストで見ると、塗料代の差より作業時間の差が効いてきます。
缶代を耐用年数で割れば製品差は年あたり数百円に収まりやすく、むしろ休日1〜2日の消費のほうが重い。
だから、臭い、乾燥、後片付けまで含めて選ぶのが実用的です。

ウッドデッキとウッドフェンスで答えが変わる理由

ウッドデッキは、人が歩き、雨が直接当たり、水が溜まりやすい、木部にとって最も厳しい条件です。
膜が摩耗するとそこから一気に傷みが進むので、まず浸透型で木の中に食わせる考え方が合います。
すでに表面が荒れているなら、完全な浸透型だけで押し切るより半造膜型に切り替えるほうが現実的で、傷んだ面を少しでもつなぎ止めやすくなります。

自宅デッキで初回塗り替えを「まだきれいだから」と4年目まで引っ張ったことがありますが、木口から先に割れが入り、その後はどれだけ塗っても他の面より劣化が早い状態になりました。
最初の1回を早く入れるかどうかで、その後の寿命が変わる。
これは机上の理屈ではなく、身をもって覚えたことです。
ウッドフェンスは歩行摩耗がないぶん条件が軽く、造膜型も選択肢に入ります。
用途が違えば、守るべき相手も違うわけです。

劣化サインから塗り替え時期を判断する

塗り替え時期は、触感より色で見たほうが判断しやすいです。
まず全体が色あせてグレー化し、次に部分的な白ボケが出て、そこへ黒ずみやヒビ割れが重なってきたら、もう待つ段階ではありません。
木が割れてから慌てるのでは遅く、グレー化の時点で動くのが正解です。

相談を受けたお宅では、塗料代を数千円ケチって安い製品を選んだ結果、2年おきの塗り替えになり、休日が余計に潰れて本人が疲弊していました。
そこで伝えるようになったのが、年間コストは塗料代ではなく作業時間で決まるという見方です。
軒天や破風のような高所木部は、足場を組まないぶん塗り替え回数そのものを減らしたいので、耐候性を優先して計画を組むのが筋になります。
ガーデン家具は肌が触れるため低臭・低VOCの水性が扱いやすく、小容量で足りるので試し塗りもしやすいでしょう。

耐用年数を年間コストに換算して比べる

10年計画で考えると、木部は3〜4回塗る前提になります。
初回は浸透型で木に入れ、2回目以降に半造膜型へ移行する乗り換え方もできるので、新設時と劣化後で戦略を変えるのが合理的です。
ここで効くのは、どの塗料が高いかではなく、どの塗料が手間を減らすかという視点です。

比較項目塗料代の見え方実際の負担選定の軸
安価な製品缶代は低い2年おきの再作業になりやすい短期の出費を抑える
耐久性重視の製品缶代はやや高い再塗装の回数を抑えやすい作業回数を減らす
低臭・水性中程度室内に近い場所でも扱いやすい乾燥後の快適さ
浸透型→半造膜型段階的1回目と2回目で役割分担できる維持計画に向く

缶の価格を耐用年数で割ると、製品間の差は年あたり数百円に収まりやすいです。
そこに休日1〜2日の作業を足すと、結局の損得を分けるのは塗料代ではなく、塗りやすさと後片付けの軽さになります。
おすすめは、最初から10年単位で見て、無理なく続く組み合わせを選ぶことです。
塗り替えは一度きりの買い物ではなく、暮らしに組み込む維持作業として考えてみてください。

失敗を防ぐ下地処理と塗るタイミング

木材保護塗料は、塗料選びより先に下地の乾き具合と天気の見切りで成否が決まります。
湿った木に塗れば、塗料は導管に入らず表面に乗るだけになり、浸透して効くはずの性能がほとんど働きません。
塗ったあとも、乾燥と養生の時間に雨を食らえばそこで失敗です。

塗る前に確認する木材の乾き具合

洗浄直後の木部にそのまま塗って失敗する人は本当に多く、開発部門でも「洗ってから最低2〜3日」と口酸っぱく伝えていたのを何度も見てきました。
休日1日で終わらせたい気持ちはわかりますが、木材は表面が乾いて見えても内部に水分を抱えていることがあるので、見た目だけで判断してはいけません。
指で押して湿り気を感じないところまで待つのが基本です。

含水した状態で塗ると、塗料は木の中へ入っていけません。
とくに浸透型は、樹脂や防腐成分が導管や繊維に入ってこそ意味があるため、濡れた木に塗った時点で機能の大半が失われます。
塗料の種類を変えても、この水分問題だけは避けられません。

天気予報から逆算する作業日の決め方

作業日は塗装当日だけでなく、乾燥と養生の時間まで晴れが続く日程から逆算して決めます。
水性は20℃で一晩の養生が目安になり、油性はさらに時間がかかるため、塗った当日の夜に雨が当たる予報なら延期したほうがいいでしょう。
塗った直後に流されれば、密着も仕上がりも崩れます。

春と秋の乾いた晴天日が最も条件がよく、梅雨時期と真夏の炎天下は避けたいところです。
湿度が高いと乾燥が進まず、高温すぎると塗料が乾きすぎて浸透する前に表面が固まります。
塗りやすそうな日より、乾かし切れる日を選ぶ。
そこが分かれ目です。

旧塗膜が残っている場合の処理

旧塗膜の処理は、残っている塗膜のタイプで変わります。
浸透型は膜を作らないので、色が褪せた上から重ね塗りしやすく、ケレンはほぼ不要です。
造膜型や半造膜型で、膜が浮いている・剥がれている箇所は、サンディングで落としてから塗らないと、そこが新しい剥離の起点になります。

塗り重ねの相性でとくに気をつけたいのが「油性の上に水性」です。
油性浸透型で仕上げた木部に水性を重ねると、旧塗膜がまだ生きている部分で弾かれ、密着不良を起こすことがあります。
筆者も油性浸透型のデッキを水性に切り替えようとして、旧塗膜が残る面だけうまく乗らず、結局その部分は1年待ってから塗り直すことになりました。
切り替えるなら、旧塗膜が十分に劣化してから、または目立たない箇所で試し塗りしてから判断するのがおすすめです。

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中村 太一

元塗料メーカー研究開発者。塗料の化学組成から性能評価まで、専門知識を活かした塗料選びのアドバイスを提供。

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